「親の不安を煽る早期教育の業者たち」について、今回は書いてみたいと思います。
弊社事業STEAM Englishは未就学児対象の育児支援を兼ねた英語教育ですので「早期教育」事業とよく言われます。
でも、実は以前の私は早期教育(幼児教育)に強い”警戒心”を持っていた保護者でした。
よくテレビで昔見かけたのが、とある幼児教室に通っている未就学児が「空中回転できる」とか、「英語を流暢に話す」などのスーパーキッズの姿をテレビで目にしては「すごいなぁ」と感じたことがあります。
でも、心の片隅では「なにか胡散臭い・・・」と思っていたことも確か。
その後、未就学児のイベントや保育現場、そして早期教育の現場にて様々な子どもたちの成長にかかわりを持つようになったとき、早期教育・幼児教育の良い面・必要性に気が付いてしまったのです。だからこの言葉をうのみにし、「早期教育ってなんだか胡散臭いし怖い・・・」と避けてしまうことがあってはもったいないと思いました。
早期・幼児教育に関して「効果ない」といわれている方もたくさんいると思います。
そのような発言をする背景には、「幼児教育・早期教育は、子どもにやらせる教育ではない」ということをあまりご存じないからかもしれません。
よく言われる幼児教育・早期教育というのは、ヒトの基盤が作られる非常な大切な時期でもある未就学の時期に「子どもだけ」ががんばる教育ではなく、「保護者と子ども」が丁寧に向き合う要素が大きい教育です。だから「だったら自分でやるわ」ということでも全く問題ないのです。
よくある幼児教育のお教室では、子どもたちがたくさんの新しいチャレンジができるよう、飽きさせないように、年齢を加味した集中力時間など配慮し沢山様々なことに取り組んでいます。(それぞれ内容は違いますが、子どもたちの発達や成長に配慮したお教室ばかりであることを願います。)
その時に、保護者が子どもの足場架けをどのようにしていけばよいか、子ども得意なことはなにか?などを知り、どのようにそこを伸ばしていけばよいかを考えるきっかけや発見の機会を作れる場でもあるのです。なので子どもが何かを取り組んでいるときに、「先生が教えてくれるから大丈夫」と考えるのではなく、見るところは、子どもがどのように取り組んでいるかや、何に興味を持ったかなどを楽しみながら、足場架けをしながら保護者の方も楽しんで利用すると本当に価値のあるものになると思います。
前置きが長くなりましたが、今回のコラムでは早期教育(幼児教育)を推進するというわけではなく、ただただ怖いと考えている方にこんな視点で利用・活用することができるといい、また、マッチしないお教室の見分け方のご参考までに、今回はサービス提供者としてではなく、とある母親の一意見としてカジュアルに読んでいただければと思います。
早期教育と幼児教育
早期教育?幼児教育?この二つの言葉の違い、気にしない方は多いと思います。
要はこの二つ「未就学児への教育」です。
本記事では、この二つを”未就学児への教育”という意味で使用したいと思います。
まず教育というイメージです。教育ってどんなイメージがありますか?
以前の私は、以下二つでした。
教育=勉強
教育=学び
でも、近年は、教育=学びというイメージが強くなってきたように思えます。
以前はなにか堅苦しいイメージが強かったように思える「教育」ですが、”ヒトを望ましい姿に変化させ、価値を実現させる活動が教育”と定義するのであれば、教育は”勉強”よりも”学び”というイメージが近しいと感じさせられます。
そこで少し雑になってしまいますが、幼児教育・早期教育というものを、幼児期の学び、早期の学びと言い換えてみると、知育・体育だけでなく、食育・徳育的な情操教育も含まれている必要があると考えることができます。
なので、もし今、幼児教室を検討されているのであれば、そのあたりも頭の片隅に置いておくといいかもしれません。
そして検討前にとても重要なのがお子さまの発達・年齢・興味です。
画一的なプログラムを一例に出しますと、ある子どもには非常に合っているカリキュラム・レッスン内容でどんどんできるようになるかもしれませんが、ある子どもにとってはペースが違ったり、その月齢ではまだできないタイミングだったりするとそれが苦痛になることもあります。
例えば、文字を書くのが得意な子もしますし、書くのはまだまだだけど見て覚えることが抜群に得意な子もいます。もしくは聞いて覚えるのが人一倍得意な子もいます。
そのため、幼児教育・早期教育はそれぞれの子どもたちに「適切な足場架け」をしていくという丁寧な活動である必要があるのです。
私が以前テレビで見た「スーパーキッズ」は、その幼児教育に非常にマッチした結果なのではないでしょうか。その子に関しては”相性がよく、効果があった”といえるのでしょう。
そして、裏を返せばその幼児教室に入ったお子さんが皆すべて「スーパーキッズ」になれるわけではないということです。
だからと言って”通ってみて損した・・・”となることもないかなとも思います。(成績トップ、スーパーキッズを目指している方はもしかして損をしたと感じるかもしれませんが)幼児教室・早期教室でそのお子さんの苦手や興味などを知ることができるからです。自分だけでは把握できなかったことや、いつもとは違う刺激を受けて親子の新しい取り組み、もしくはお子さんの一人遊びのバリエーションを増やすことができます。
得意な学び方も子どもそれぞれです。そのお子さんのその時の得意な学び方を見つけ、アプローチしてみると、お子さん自身もどんどん学びが楽しくなり、知ることに積極性が出て好奇心が育まれるのではないかと考えています。
早期教育・幼児教育に対する需要の高まり
さて、早期教育・幼児教育に対する需要の高まりは、世界的なトレンドとして見られます。
「学力」の経済学という本で幼児期の教育の重要性を説いており、この本をきっかけに多くのお母さま方が幼児教育に関しての関心をもったことだと思います。
また、非常にわかりやすい事例として、イギリスでは、英国王室のキャサリン妃が、2021年に王立財団に幼児教育のためプログラム(ロイヤル・ファウンデーション・センター・フォー・アーリー・チャイルドフッド(Royal Foundation Centre for Early Childhood))を設立し、幼児教育の重要性を説いています。
私たち人間が胎内にいるときから5歳までは、ほかのどの年齢のときよりも急速に発達しますが、この時期に人生の基盤と基礎が築かれる大切な時期であるのは間違いないといえるのではないでしょうか。
この時期は限られた短い時間だからこそ、早期教育に対する需要を利用して、不安を煽り高額な教材やプログラムを販売する業者が存在するのも納得です。
でも、実際、幼児期に行われる適切な教育は、子供の発達に対して有益である一方で、不適切な教育は子供の発達に悪影響を与えることがあるため、慎重に考える必要があります。
幼少期に必要なのは、適切な運動や遊びなどの五感をフルに使った体験
現時点の幼児教育に関する研究で多くいわれているのが、適切な運動や遊びなどの五感をフルに使った体験は、幼少期にとても重要な役割を果たしているということです。
でもどうやってやるの?
発達の段階ごとに適した取り組みって?
もっとたくさんの経験をさせてあげたい。
そんな時に活用できるのが幼児教育のお教室ではないかと考えてます。
乳幼児は遊びから学びます。ただただ遊ぶのではなく、思いきり遊ぶ、やりたいことを見つけ、とことんやる。そんな中からやり抜く力や自己肯定感を育んでいけます。その足場架けをしていくのが未就学児の教育現場の人たちの役目でもあるのかと思います。せっかくそのような教室を利用されているのであれば、ただ子どもたちを通わせるのではなく、お教室の先生とお話をして先生から見た子どもの得意なことなども聞いてみるといいかもしれません。
幼児教育の教材について
幼児教育の教材はたくさんあり、100円ショップでも手に入れられるようになりました。100円ショップのものでも、非常に素晴らしいものがあふれています。そして100万もする教材も考えられて作られていてこれもいい教材だし。。。と目移りしてしまいます。
ただ、教材に関してはそれをどう使いこなすかが重要な要素だと思います。
現在、幼児期に英語を習得することが必要であるという考えが広がっていますが、英語を習得することはもちろん良いことです。ですが、幼児期に習得する必要性は必ずしもなく、適切ではない英語教育は、子供たちにストレスを与え、逆に英語嫌いになってしまいます。
日本でも英語を流暢に話す「スーパーキッズ」を最近は多く見られますが、ある一つの教材やお教室ででそうなったわけではなく、意識的か無意識にできていた保護者の適切な「環境つくり」「足場架け」や「それ以外の取り組み」があったからだと推測しています。その教材を与えただけで、そうなったのであれば、その教材を購入すれば100%その子のようになるのではないでしょうか。
そうでないということは、教材だけで英語ペラペラになるというのは考えにくいのです。
早期教育によって子供たちの自由な発想力や創造力が損なわれる?
さて、早期教育のデメリットによくあげられる要因の一つとして、子供たちの自由な発想力や創造力が損なわれることがあるという点があります。
しかし、適切な取り組み、サポートをすれば、子供たちの自由な発想力や創造力を促進することができます。
例えば、工作やアートなどを取り込むことにより、自由な発想力や創造力を育むことができます。子供たちが自分で考え、自分で解決する能力を身につけることができます。
親が子供に正しい答えを教えるのではなく、子供自身が考え、解決策を見つけることができるようになることが重要です。年齢や発達、興味などその子供それぞれに丁寧に向き合い行われる早期教育は、子供たちの自由な発想力や創造力を損なうことはないのです。
親が子供に無理なプレッシャーや期待をかけたり、適切なサポートがなされていない場合、子供が無理な勉強や練習を強制されることになります。
早期教育を行う場合には、子どもたちのペースに合わせて進めることも念頭に置いておいてください。
まとめ
以上のように、早期教育には批判もありますが、適切な方法で実施された場合には、子供たちの発達に良い影響を与えることができます。
親が子供たちに無理なプレッシャーや期待をかけず、楽しく学ぶことを促進することが重要です。また、親も子供と一緒に楽しんで学ぶことで、子どもたちはよりよく学ぶことができます。
子育て中の母親として感じるのは、とにかく「子どもに幸せになってほしい」それのみです。でも、幸せの定義は自分や子どもとは全く違います。
私自身、「高学歴」「結婚」への価値観は自身の母とは大きく違いましたので、やはり押し付けられることの窮屈さは子どもには味わわせたくないと思っています。
そんな経験から子どものサポーターとしてできることとしては、「教える」という行為から「学ぶ」こどができるような足場架けではないかと考えます。
子どもの興味から派生する学びを大切にし、学びの楽しさを知ってもらうこと。そこから自ら勉強に関する積極性も出てくるのではと思います。
最後に、私の話になって恐縮ではありますが、幼児教育はその重要性の割には軽視されている課題多き教育分野だと感じ、いてもたってもいられなくなりこの分野の事業を立ち上げました。
親は子どもにために教育をと思っていても、子どもがそれを嫌がってしまう。。。
でも学ぶことはすごく楽しいことと知っている子どもたちはもっと学びたいと思っている。
「学ばせたい」「学びたい」双方同じ方向を向いているけど、、、なにかうまくいかない。このズレを解消したいと考えています。
一母親としても。