乳児・幼児がSTEAMの土台をつくるには?

乳児・幼児 STEAM教育 STEAM教育

ここ数年、STEAM教育 (科学、技術、工学、芸術、数学) に注目が集まっていますが、STEAM English for kidsでも、子供たちの将来の職業ためにやっていた方がよい教育とは?ということを考えたとき、STEAM教育は外せない分野だと考えていました。それ以来STEAM教育を積極的にカリキュラムに取り入れてきました。

未就学前はヒトの土台を作る時期。だからこそ乳幼児期に経験する活動は、後に学ぶSTEAM教育の強力な基盤を構築することができるはずです。

そのため座学で学ぶ小学生の前に、五感の体験に配慮したSTEAMの活動を始めることはとても有益であると考えています。

この好奇心旺盛な時期こそSTEAM教育の土台作りに適している時期かもしれません。興味から派生する実践的な学びによって様々な分野に強くなるとも考えています。この時期を逃すわけにはいかないのではと考えます。

STEAM教育を始めるのに早すぎることはない?

幼児のSTEAMアクティビティが、学校生活に入ってから行う「勉強」や「宿題」とはあまり関係がないように見えるかもしれません。ですが乳幼児期の子どもたちはスポンジのように様々なことを柔軟に吸収し、この限定した期間に経験したことによって基盤が作られます。

乳児・幼児でも「数え方・割り算・並べ替え・図形」などに慣れ親しんだり、「探索、調査、発見」などを通してコミュニケーション、批判的思考、創造性を育むことができます。子どもたちの自然な傾向を奨励することで、STEAM分野の魅力的な一面を早いうちから体験することができます。

乳幼児期のSTEAM教育はそれぞれの子どもたちの発達過程に応じた足場架けや材料を使い取り組みが行われることが多いため「早期教育」といわれると少し違うと思います。どちらかというと「幼児教育」のニュアンス強い気がします。

ただ早い段階でSTEAMの分野に慣れ親しむ機会があると、子どもたちの興味対象の発見や学びの広がり方なども発見できるので、保護者目線からしてもメリットがあるようにも思えます。

例えば、お子さまの得意な学び方を発見し可能性を広げてあげられるサポートができたり、勉強しなさいと言わなくても、得意な学び方でアプローチすることで勉強への意欲を付けてもらうことができるかもしれません。将来的にどのような仕事に就くのか?ということを考えるとやはりやらないことへのデメリットの項目の方がおおくなるのではないでしょうか?

STEAMの基盤を構築する方法とは?

STEAMという概念を早い段階で習得するにはどうすればよいのでしょうか?

幼児に「割り算」や「ピタゴラスの定理」「プログラミング言語」を理解させるのはとても難しいことですが、その代わりにその子どもの発達・成長に合わせた五感の刺激などで、興味を刺激するように設計した実践的な体験を提供します。

次に、各STEAM 科目をどのように幼児や子どもたちに体験してもらうかの例を紹介します。

Sicence:化学

科学というと、小学生からの「実験」のイメージが思い浮かびやすいですが、幼児への科学への興味の入り口は、自然界を探索することから始まります。自分の身の回りの世界がどのように機能するかについて学ぶことができます。この種の興味・好奇心は、乳児・幼児はもともと兼ね備えているものです。

例えば、飲食からも科学への興味の足掛かりをつかむことができます。

飲食という行為は子供の味覚を広げるだけでなく、ほかの感覚も刺激します。そして、彼らが食べる食べ物にもそこに至るまでのストーリーがあることを知る機会でもあります。

たとえば、パイナップルのスライスに慣れている子は、パイナップル全体がどのように見え、どのように成長するかをみると驚くかもしれません。食事は、新しい味、食感、言葉、および部分と全体の関係 (パイナップルのスライスがパイナップル全体の一部である場合など) を探求するための一つの方法です。食べ物一つだけでも話題は無限にひろがります。

そのほか、以下のような体験を通して「化学」を楽しむことができます。

  • 物理科学:
    物体と材料の特性 (温水と冷水の違い、柔らかい表面と粗い表面、球体と四角形、さまざまな色など) を調べる。
  • 自然科学:
    自然の散歩を通して屋外の世界とその一部である生物を発見し、観察するアイテム (岩、砂、花びらなど) を収集する。

Tecnology:テクノロジー

「テクノロジー」と聞くと、ほとんどの人がスマートフォン、コンピューター、複雑な機械を思い浮かべると思います。ですが、テクノロジーには、私たちの生活をより快適(効率的)にするためのすべてのツールが含まれています。

例えば、幼児や子どもたちにとっては、はさみ、紙、クレヨン、粘土、積み木などが「テクノロジー」に当てはまるといえます。

以下のような体験を通して「テクノロジー」を学ぶことができます。

  • 日常生活の中での掃除・片付けなど:
    掃除、表面の拭き取り、おもちゃの片付けなどの日常的な活動の中でも実践できます。適切なテクノロジー (この場合であればほうき、キャビネット、手ぬぐいなどの非常に単純なものであっても)を選び、使用することで効果的・効率的に自分の小さなタスクを達成することができるのです。

エンジニアリング:Engineering

エンジニアリングとは、課題を特定し、解決策を設計し、それらを実施することで課題を克服することです。原因と結果がすべてで、ゲームやアクティビティを通じてこの概念について子供たちに教えることができます。

  • 出し入れゲーム:
    閉じた容器に物を入れて取り出すことで、子供たちは物の永続性を理解することができます (視界から消える物は存在しなくなりません)。
  • スタッキング カップ:
    カップは正しい順序でないと収まらないため、子供は不適切に積み重ねてから順序を修正します。

Art:アート


想像力豊かな課題や解決策を考え出すという点で、ほかのSTEAMの項目すべてにかかわってくるのではないかと思います。

芸術的スキルを習得させ、自身を表現する十分な機会を提供します。たとえば、幼児用の部屋には子供が利用できるイーゼルがあったり、廃材や粘土で好奇心の赴くままに好きなものを作ったり遊んだりします。

  • プロセス アート:テーブルの上に紙を敷いて、フィンガー ペイント、チョーク、ステッカー、クレヨン、接着剤を使って生徒たちに創造力を働かせます。
  • プロジェクト アート:意図的なアートを作成します。

Mathmatic:数学

「数字が苦手」という言葉はよく聞きますが、それは直感的な方法で最初に探求することなく、複雑で抽象的な概念に触れたことが原因ではないでしょうか。

まず幼児期では、並べ替え、照合、パターンの認識と作成、およびサイズなどの特性による区別を含む、単純で、かつ実践的な活動を通じて数学的概念について慣れ親しみ学ぶことができます。

  • 並べ替え作業:
    物を並べ替えるには、サイズや色などのさまざまな基準に基づいてアイテムを比較対照する必要があります。このプロセスは論理的思考の基礎であるだけでなく、どの基準で分類するかを選択することも含み、意思決定のスキルと個人的な自信をも構築します。
  • 空き箱の積み立て遊び:
    さまざまなサイズの立方体の空き箱を積み上げてタワーを作ります。それぞれの形・寸法を見る、それぞれの立方体の重さを感じる。そのことで幼児は空き箱のそれぞれが持つ独自の性質を体感することができ、どうすればうまく積み上げることができるかを体感していきます。

まとめ

STEAMで培われるのは「問題解決能力」。幼少期から培うことは可能です。実践し解決するという、生きるために必要なの力を育む実践的な教育だといえるのではないでしょうか。

今はまだ「成績トップを取るための教育」ではありませんが、ますます技術の進化スピードは速くなる昨今、これらを未就学児から慣れ親しむことで、将来の職業はもちろん、自分で自分の欲しいものを作ることができる大人になってくれるかもしれません。

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