STEAM教育とは、Science(科学)、Technology(技術)、Engineering(工学)、Art(芸術)、Mathematics(数学)の5つの学問領域を融合した教育です。今、科学技術の発展が急速に進み、複雑化・多様化してます。このような社会に対応できる人材を育成するためにSTEAM教育が注目されています。海外では、STEAM教育がすでに広く普及している国もあります。
今回は海外の各国のSTEAM教育のさまざまな取り組みを見ていきたいと思います。
STEAM教育:アメリカ
アメリカは、STEAM教育の先進国として知られています。まず、このSTEAMという言葉の発祥の地もアメリカなのです。1980年代からSTEAM教育の重要性が認識され、政府や民間団体によるさまざまな取り組みが行われました。
そして、2009年にはオバマ大統領がSTEAM教育の推進をさらに加速させました。
アメリカのSTEAM教育では、実験やプロジェクト学習など、アクティブラーニングを取り入れた学習が重視されています。STEM教育の普及を図るために、教員の研修や教材開発などの支援も積極的に行われており、教員のSTEAM教育に対する理解と実践力が高まっています。
- アメリカの「High Tech High」
カリフォルニア州サンディエゴにある公立高校「High Tech High」は、STEAM教育に特化した学校として知られています。同校では、教科書は使用せず、プロジェクト学習や実験・実習などを通して、生徒の探究心や創造性を育む教育を行っています。
中国
中国も、STEAM教育に力を入れている国の一つです。
2015年に、中国共産党中央委員会が「中国製造2025」を発表し、科学技術の振興とイノベーションの創出を目標に掲げました。これに伴い、STEAM教育の推進がさらに加速したようです。
中国のSTEAM教育では、カリキュラムの整備や教員の研修に重点が置かれています。
また、民間企業や非営利団体もSTEAM教育の普及に積極的に取り組んでおり、STEAM教育の環境が整備されつつあるようです。
シンガポール
シンガポールは、アジアで最もSTEAM教育が進んでいる国の一つです。国で「STEM教育戦略」を発表し、STEAM教育の普及を図るための計画を策定しています。
シンガポールのSTEAM教育では、STEM教育のカリキュラムの整備や教員の研修に加えて、課外活動やワークショップなどの充実にも力を入れています。また、STEM教育の成果を評価するための国際的なテスト「PISA」のスコアを向上させるために、STEAM教育の質の向上にも取り組んでいる。
そのほか、世界各国でSTEAM教育の推進が進んでいる。それぞれの国の教育制度や文化に合わせて、カリキュラムや教材が開発されている。
シンガポールの「STEM教育マスタープラン」は、STEM教育を推進するための指針となっています。
このマスタープランでは、STEM教育を通じて、生徒が現実世界の問題に対して創造的な解決策を考え出す能力を身につけることを目的としています。
STEM教育によって、生徒が将来の学習や仕事に取り組むための力強い科学の基礎を提供することを目的としています。
STEAM教育の成果
海外のSTEAM教育の成果として、以下の点が挙げられる。
- 科学技術に対する関心や意欲が高まる
- 問題解決能力や創造性などの非認知能力が向上する
- STEM分野の職業への進路選択が増える
STEAM教育は、子どもたちの将来の可能性を広げ、社会の課題解決に貢献できる人材を育成するために、重要な教育であると考えられています。
日本のSTEAM教育の現状
日本でも、STEAM教育の重要性が認識され、近年はさまざまな取り組みが進められています。
2020年度から、小学校でプログラミング教育が必修化されました。また、2021年度から中学校でもプログラミング教育が必修化されます。さらに、2022年度からは、高等学校の理科教育のカリキュラムが改訂され、プログラミングやAIなどの要素が加えられる予定である。
しかし、日本では、STEAM教育の普及がまだ十分とは言えない状況にある。
- 教員のSTEAM教育に対する理解や実践力が不足している
- 教材や施設などの環境が整っていない
- 家庭での学習支援が不足している
これらの課題を克服するために、教員の研修や教材開発の充実、家庭での学習支援の強化などの取り組みが必要となってくるでしょう。