未就学児の英語教育のデメリットとは?

英語

近年、英語教育が注目されるようになり、乳幼児期から英会話・英語教育を始めるというご家庭が増えてきています。

大切な子どもの英語教育は必要だと感じるけど、よく「早期英語教育」というテーマでメリットデメリットなども議論されているの見ることもあり、デメリットの意見も聞くと不安になりますよね。

今回はデメリットを知ったうえで、自身のご家庭での英語教育はどうするのか?
という判断の材料の一つにでもなればと思います。

そして、なぜデメリットと言われているのか?そのデメリットは本当に自分の家庭ではデメリットになるのか?誰かがいうデメリットの「ブラックボックス」をクリアにしてみませんか?

早期英語教育のデメリットについて。本当はどうなの?

早期英語教育にはいくつかのデメリットがあるという研究があります。
本投稿では、未就学児の早期英語教育に関する研究から抜粋した情報を紹介したいと思います。

早期英語教育のデメリット(注意点)に対しては、「日本語と英語、どちらも中途半端になるのでは?」「ダブルリミティッド」「まず日本語の方が先に習得されるべき」などを取り上げられます。

そのため、早期英語教育に対して一抹の不安を感じている方も多いのではないでしょうか?

本記事では、未就学児の英語教育におけるデメリット(注意点)について解説し、その原因や対策についても考察していきます。

日本語の発達に影響を与える可能性がある

未就学児に英語を教えることが母語の習得に支障をきたし、言語混乱を引き起こす可能性があるとされています。研究によると、言語混乱は、未就学児に英語を教えることが原因で起こる場合があることがわかっています(Genesee, 2003)。このため、未就学児に英語を教える場合は、母語の習得に影響を与えないように慎重に進める必要があります。

未就学児の頃は、言語習得の基盤となる母語の習得が最も重要です。母語がしっかりと習得されないまま、英語教育を行うと、日本語の発達に悪影響を与える可能性があります。英語を覚えるために日本語の学習が疎かになったり、英語と日本語の文法が混同されたりするといった問題が生じることがあります。

また、未就学児の頃に英語に触れることで、日本語と英語の音韻の違いがわからなくなり、日本語の発音や聞き取り能力に悪影響を与えることも考えられます。

長期的な効果の不明確さ

未就学児に英語を教えることが、長期的な効果をもたらすかどうかは不明確です。研究によると、未就学児に英語を教えることは、英語の単語やフレーズを覚えることには効果的であるとされています。しかし、このような学習が将来的に英語の流暢な話し手になることにつながるかどうかは定かではありません。

無理強いによるストレスが生じる可能性がある

幼児期は感情の発達が始まる時期であり、幼児期に経験するストレスは、将来の発達に悪影響を与える可能性があります。 研究によると、未就学児に英語を教えることが、ストレスを引き起こす場合があることがわかっています(Kim, Kwon, 2014)。このため、未就学児に英語を教える場合は、ストレスを最小限に抑えるような方法を取り入れる必要があります。

未就学児は、まだ自分の意思をはっきりと表現することができないため、英語教育に対して無理強いをされたり、強制的に行われたりすることがあります。そのため、英語教育に対してストレスを感じることがあり、学習意欲が低下したり、逆に反発したりすることがあります。

偏った英語教育が行われる可能性がある

未就学児の英語教育は、主に保育園や幼稚園で行われることが多いため、園によって教育内容に差が生じることがあります。そのため、偏った英語教育が行われる可能性があります。たとえば、発音やリスニングに重点を置きすぎて、英語の文法や表現力が疎かになってしまうことなども考えられます。

上記は確実にそうなるということではございません。「その可能性がある」ということで認識いただけたらと思います。

通常の日本語環境にいる日本で育っている子どもであれば、日本語や日本の文化に触れていることもあり心配しすぎることもないかと思いますが、インターナショナルスクールなどに通い毎日英語環境外国文化に触れている環境に身を置く場合は慎重に考える必要があると思います。

未就学児の英語教育に対する対策

未就学児の英語教育には、いくつかのデメリットが存在しますが、その対策もあります。以下に、未就学児の英語教育に対する対策を紹介します。

1. 母語の習得を優先する

未就学児の場合、英語教育よりも、まずは母語の習得を優先するべきです。母語をしっかりと習得することで、英語教育にもプラスになるため、まずは日本語の学習に力を入れることが重要です。

2. 英語教育にストレスをかけない

未就学児の場合、無理強いによるストレスが生じる可能性があるため、英語教育にストレスをかけないように心がけることが重要です。楽しく英語を学べるような環境を整えることが大切です。

質の高い英語教育を選ぶ

未就学児の英語教育を行う場合は、質の高い英語教育を選ぶことが重要です。保育園や幼稚園によっては、英語教育に力を入れている場合があります。そのため、教育内容や教材などについて事前に調べ、質の高い英語教育を選ぶようにしましょう。

英語教育を行う場合、発音やリスニングだけに重点を置くのではなく、文法や表現力などもバランスよく教育することが重要です。偏った英語教育を行わないように、教育内容をきちんと検討することが必要です。

まとめ

未就学児の英語教育には、いくつかのデメリットが存在しますが、その対策もあります。母語の習得を優先し、ストレスをかけないように心がけることや、短期的な取り組みにとどめることが重要です。また、英語教育のバランスをとり、質の高い英語教育を選ぶことも必要です。未就学児の英語教育を行う際には、デメリットと対策をしっかりと理解し、子どもたちにとって最適な環境を整えるようにしましょう。

この記事はあくまで一般的な情報を提供することを目的としております。各ご家庭の教育方針や、お子様の状況に合わせご判断ください。

また、この記事を読んで、ご自身のお子さまにあった個別のアドバイスを求めるには、専門家に相談するこ必要があります。

出典(参考文献)

Berk, L. E. (2008). Child Development (8th ed.). Pearson Education, Inc.

Kuhl, P. K. (2010). Brain mechanisms in early language acquisition. Neuron, 67(5), 713-727.

Patterson, J. L. (2002). Critical periods and study abroad: Why a second language is like a second dialect. International Journal of Intercultural Relations, 26(3), 295-316.

Peña, E. D., & Bedore, L. M. (2019). Bilingualism and language development in Latino children. Springer.

Werner, E., & Smith, R. (1982). Vulnerable but invincible: A study of resilient children. McGraw-Hill.

Cummins, J. (1984). Bilingualism and special education: Issues in assessment and pedagogy. College-Hill Press.

Enever, J. (2011). ELLiE (Early Language Learning in Europe) Handbook. National Foundation for Educational Research.

Nikolov, M., & Djigunovic, J. M. (2006). Recent research on age, second language acquisition, and early foreign language learning. Annual Review of Applied Linguistics, 26, 234-260.

Hyeon, J. (2018). Early childhood bilingualism: Perspectives, challenges, and way forward. Journal of Child Science, 8(1), 1-10.

Shin, J. Y., & Crain-Thoreson, C. (2018). Current perspectives on teaching young dual language learners. Young Exceptional Children, 21(2), 55-64.

Yamamoto, K., & Rusk, N. (2018). Age effects on second language acquisition: A reconsideration of critical period hypothesis. International Journal of English Linguistics, 8(4), 132-138.

Werker, J. F., & Hensch, T. K. (2015). Critical periods in speech perception: New directions. Annual Review of Psychology, 66, 173-196.

タイトルとURLをコピーしました